The New Technology
現在に至るまでオーディオエンジニア達は、大型コンサートやサウンド・リインフォースメントの現場において不満足な妥協を強いられてきました。不規則なクラスターやスタックが多数の音源となって遠いフィールドから近いフィールドまで全般にわたって予期せぬサウンドを創り出し、状況はコヒーレンスの低下によって更に悪化しています。コンサート会場が大きくなり結果として反響が増えれば、トラックから積み降ろされるキャビネットの数も増える。トラック台数が増え、アンプラックが増え、ケーブルが増え、セッティングにかかる時間も増え、労働量も増え、コストもかさみ、状況はさらに悪化します。
そんな会場のサウンドは、視覚的に満足する席でもスピーカーの能力の半分しか聞くことができず、会場の一番後ろでは聞き取りづらいサウンドになっています。
でもそれは今までの話でした……
この数年間エンジニア達はコンソール、シグナルプロセッシング、マイク、アンプ、そしてコンピューターを使ったミキシング技術の大幅な進歩に驚嘆してきましたが、それでもなお、こうした問題に対するスピーカーキャビネットの技術による解答はまったく与えられてきませんでした。
これも今までの話でした……
V-DOSCはこうした問題を起こすことなく非常に遠距離までコヒーレントの優れた音場を作り出し、これまでは解決不可能と考えられてきた問題に解答を与えます。 非常に広い範囲で、周波数レスポンスとSPLの変動がほとんどない一貫したサウンドクオリティを実現しました。
FROM THE BEGINNING まず初めに
フランスの原子物理学者クリスチャン・ヘイル博士は、個々のユニット間で正確なカップリングを行うことのできる周波数の上限、ユニットの実際のサイズ、形状と、その正確な間隔との関連性を1987年に発見しました。そして1988年にはこの現象を証明する最初のシステムがフランスのオーディオコンベンションで発表されました。このシステムは、フラットで位相のそろったリボン形状の波面を持つ個々の音源を垂直にスタックすることで、高域ユニットのカップリングの問題が解決されています。これにより個々の高域ユニットを構成要素として事実上垂直方向に連なった一つのリボン型の音源が形成されます。
独自に設計されたウェーブガイドに、複数の高域コンプレッションドライバーが搭載されており、これは従来のコンプレッションチェンバーのアウトプットを事実上のリボン型音源に変換します。(このウェーブガイドは現在国際特許を保有しています。)7インチのミッドコーンを物理的に配置したシステム全体が、一切れのパイまたはくさびの形のフィールドを持つ円柱状の波面
(Sylindrical Wavefront) を生みだします。
1989年から1991年にかけてヘイル博士とマルセル・アーバン教授は円柱状音波の物理的性質を徹底的に研究し、物理理論をうちたて、これを1992年3月にウィーンで行われた第92回AESコンベンションで発表しました。(前刷りNo.3269“Sound
Fields Radiated by Multiple Sound Source Arrays”/多数音源アレーの放射する音場)1992年秋にはダイレクト・ラジエーティング・コーンドライバー15インチが2個、セミロード・ケブラーコーンドライバー7インチが4個、ウェーブガイドを積んだコンプレッションドライバー2インチ2個を搭載したV-DOSCの最初のプロトタイプが完成されました。
このプロトタイプを使って最終テストと測定が行われ、クロスオーバー周波数、タイムアライメント、アレー構成の正確なパラメータが確定されました。
V-DOSC
これは長方形の“ワンボックス”システムで、一本の直立した柱状にスタックまたはリギングして使うように設計されています。この一本の柱が、各キャビネットに入っている個々のユニットに対して一つのシンプルなラインアレー(線音源)を生み出します。このラインアレーはV-DOSCの最初の鍵であり、又同時に同一平面状対称(Coplanar
Symmetry)というもう一つの概念を作り出しますが、これについては後で触れます。中域および高域のユニットをVの形にアコースティックローディングすることがV-DOSCの名前の由来です。DOSCはDIFFUSEUR
d'ONDES SONORES CYLINDRIQUES(円柱状音波の拡散) の略です。 ここにV-DOSCの2番目の鍵があります。
これまでの点音源スピーカーはすべて球面状の波面を形成していました。
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